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  特集 : 新型コロナウィルス情報 
 
正しい知識で感染拡大を防止し、早期に収束に向かわせましょう

   2019年12月に初めて感染が確認された新型コロナウィルスCOVID19、いまや歴史的事態となって世界を席巻しています。私たちは現実を正しく認識し、正しい対応をすることにより、感染拡大を防止し、一日でも早い収束を期せねばなりません。当会の専門家中村邦彦氏(H03医)に数回に亘って解説していただきます。   
 


 第4回(2020年11月6日掲載)                    第1回へ  第2回へ  第3回へ

長引くコロナ禍の中で誰もが気になるのは、このコロナウィルスに対するワクチンはいつできるのだろうかということだと思います。現在、臨床試験に入っているのは40種類以上、前臨床試験段階のものを含めれば100種類以上の新型コロナウイルスワクチンが開発中になっています。その中でも臨床試験の最終段階phase3に入っているものは10種類で、情報開示の信頼性の面で問題のあるロシア製や中国製を除くと6種類です。通常のワクチン開発は10年以上かかるのが普通であり、この状況はとてつもなく早いと言えます。

この世界的な危機に世界中の英知を集めて対処するため、できる限り開発情報を隠さず共有して開発を早めようという動きや、各国が巨費を投じていることも要因ですが、他にも大きな理由があります。それは副反応や効果に対する評価のハードルをかなり下げているということです。もちろん重篤な副反応は問題になりますが、多少の副反応は容認されています。現在phase3に入っているものでも熱発の頻度が高いものがありますが、そのまま試験は続行されています。効果についても通常のワクチンでは7080%の効果が求められますが、このワクチンでは50%以上の効果があればよしとされています。それでもかなり早いと言えますが、現段階で開発が進んでいるものでもその効果というのは、抗体が産生されるということであって感染が予防できるかどうかはまだ分からない状態です。

そして最も懸念されるのが抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)が起こる可能性です。これはワクチン接種によって体内で産生された抗体が、かえってウィルスの感染を促進してしまう現象です。過去の他のワクチンでADEが生じたために開発中止になったものもあります。そして新型コロナウイルスワクチンでは、ADEの懸念が払拭されたものはまだありません。現在100種類以上が開発中にあるのは、裏返せば先行しているものも含めまだ確実性の高い製品はないためと言えます。国内でも開発は行われていますが、まだ時間がかかりそうです。日本政府の現在の対応としては2021年の早期にワクチン接種を開始しようということですが、これは有望そうな国外の製品を見極め投資して使用できるようにするというものです。期待度はかなり高いですが、最終的な結果が分かるのはまだ先のようです。


 
                                          
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